「『学校に行きたくない』と子どもが言ったとき親ができること」を読んで

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いつも読んでいただいてありがとうございます。
不登校専門心理カウンセラーの田中勝悟です。

はじめに

私は週に1冊以上のペースで不登校に関する本を読んでいます。
不登校については関わる人や立場によっていろんな考え方があります。

また、不登校は心の理解の仕方は一定の正解はありますが、支援の仕方、関わり方、考え方には正解はあります。

そのため、いろんな考えを取り入れるためになるべく本を読むようにしています。

今回は不登校新聞で有名な石井志昂の「『学校に行きたくない』と子どもが言ったとき親ができること」の感想です。

ちなみに不登校新聞は私も定期購読しています。

石井さんが20年以上かけて取材してきた経験を踏まえて、不登校の子ども達に対して親や大人ができることを書いています。

個人的には不登校の入門書としてもおすすめしたい本の一冊です。

多くの方に役立つノウハウやコツ、考え方がわかりやすく書かれています。

以下、心に残ったことについて書いてみたいと思います。

「わかった」という勇気

まずこの本で印象に残ったことは、子どもが「学校に行きたくない」というのは本当に苦しいから言葉に出たんだという言葉です。

これは私のカウンセリングでの印象からも「まさにそうだ」と感じています。

多くの子どもは繊細な子が多いので、「行きたくない」と言ったら家族がどういう気持ちになるのか十分理解しています。

でも、学校に行くと心がボロボロになって行く。

そうした心の悲鳴が「行きたくない」と言う言葉だということ。

石井さんが取材してきた中では、無理して学校に行き続けた結果、メンタルがやられてしまい回復するのに長い時間かかってしまったケースもあったと書かれています。

この辺りは本当にわかります。

ただ、親としては子どもが学校に行きたくないと言った時に「わかった」というのはとても勇気がいるものです。

でも、その一言で救われる子どもたちがいるんだということを石井さんはおしえてくれています。

親があってもこは育つ

また、この本では不登校の未来についても書かれています。
普通はこういうことを書いてる本はないので、不登校新聞編集長としていろんな体験談を聞いてきた石井さんだからこそできるんじゃないかと思います。

不登校の子どもの8割は進学をしているし、将来仕事をしている子もたくさんいる。
だからこそ悲観することはないというのが石井さんの言いたいことだと思います。

この感覚は私も同じように考えています。

ただ、一つ条件があります。

それは「親子関係が良好であること」です。
特に不登校の特性に合った良好な親子関係ができているかどうかが大事だと思っています。

親子関係が悪いまま、学校に戻ったとしても高い確率で再不登校になります。
また、ひきこもってしまうケースも多々あります。

子どもの社会性は家庭の中で育つ

この辺りはこの本では面白い話が出ていました。

「子どもの社会性の基本は親子の信頼関係である」

この内容を聴いて「その通りだ」と思わずにいられませんでした。

社会性というのは、社会の中で身に付く部分もたくさんあります。
ただ、基本的な部分はやはり親子の信頼関係なのです。

それができてようやく子ども自身が社会で生きていくエネルギーを育むことができます。

私が「不登校支援の基本は親子関係だ」といつも言っていますが、そのことが書かれていて思わず拍手をしてしまいました。

不登校の解決は学校に行くのではない

この本で、印象的だったのは、「不登校の子たちが成長するとみんな普通のおじさん、おばさんになる」ということ。

不登校の解決というのは、当事者にとってはあまり実感としては湧かないようです。

それよりも、「不登校だった自分がだんだんとなじんでいく感覚」というのが近いのかなと思います。

ひげ男爵の山田ルイ53世さんのように「ひきこもりの経験があってよかったなんて到底思えない」という方ももちろんいます。

でも、人は不登校やひきこもりだった経験を受け入れながら前に進むしかありません。

だから、多くの方は「解決したかどうかはわからない」と言います。

でも、それが一番いいんじゃないかとも思うのです。

そもそも不登校の解決って何?

これは本に書かれていることではなく、私が読んだ中での感想です。

そもそも不登校の解決って言ってしまうのは、「不登校は悪いものだ」というネガティブなイメージが根底にあるからです。

悪いもの、解決すべき課題だから、「解決」という言葉を使ってしまう。

私はそうじゃないと思います。

不登校は一つの生き方です。

わかりやすく言えば、「みんなは運動部に入っている、でも私は運動できないから美術部に入った。でもそれでいいんだろうな。私は私だし、こうした私と向き合っていこう」という感覚に近いのかもしれません。

でも不登校という生き方は、多くの人がそれ否定してしまっている。

そんな社会と自分との折り合いをどうつけて、社会で生きていくのか。

それが本当の解決につながるのではないのかなと、石井さんの本を読んで感じました。

まとめ

この本は不登校の入門書としては非常にわかりやすく、不登校の見方が大きく変わります。

不登校を経験した人、多くの方たちと対談してきた石井さんにしか書けない素晴らしい本だと思います。

これからも不登校の最新の知識をブログでお伝えできたらと思います。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

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