親が〇〇〇だと不登校になる?親子関係がどう不登校に関係するの?

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いつも読んでいただいてありがとうございます。
不登校専門心理カウンセラーの田中勝悟です。

以前、こんな質問を受けました。
「よく本とかで親の過干渉が不登校の原因だと書かれているのですが、田中先生の見解はどのようなものでしょうか?」

確かに不登校の原因が親子関係にあるという説はよく聞きます。

果たして本当でしょうか?

今回はそうした親子関係と不登校の関係について突き詰めていきたいと思います。

不適切な養育が不登校の原因なのか?

よく不登校のケース会議を開くと、「あの家庭だから不登校になっても仕方ない」という言葉を聞くことがあります。

確かに家庭が不安定だとそこでエネルギーを消耗してしまい、学校に行く元気がなくなっていく子がいるのも事実です。

ただ、すべてが全て家庭環境が原因とは言い切れません。

不適切な養育やしつけが間違っているから不登校になったのだとすれば、虐待を受けている子は全て学校に行けないという結論になります。

ちなみに令和2年度の虐待件数は総数約20万5千件です。

参考までに

厚生労働省 令和2年度の児童虐待相談対応件数を公表 | 全国ネットのお知らせ・活動 | オレンジリボン運動 - 子ども虐待防止
子ども虐待防止を訴える運動。オレンジリボン運動の公式サイト

一方で、令和2年度の不登校の数は19万6千人ほどです。

また、考えないといけないのは家庭の中で問題が見られない子どもも不登校になっていると事実です。

夫婦仲が良好で、家族関係も良いのに、ある日急に学校に行けなくなる。

そういったお子さんもおられます。

そうしたことを考えると、親子関係・家庭環境は不登校の直接の原因ではなく、単なる「きっかけ」でしかないということです。

そもそも過干渉って何?

そもそも過干渉ってどういう意味しょうか?

weblio辞書では
「必要以上に関与すること。一般的な限度を超えて関わること。過剰に干渉すること。主に親の子に対する干渉を指す語として用いられる。」
と言われています。

心理学的に言えば、バウンダリー(境界線)が曖昧で、親子の距離が近く、親の思いや不安をそのまま子どもにぶつける形で介入する行動です。

例えば、子どもの将来が不安だから厳しく躾ける場合をイメージしてください。

この場合、不安なのは誰でしょうか?
子どもが不安なのでしょうか?

親の不安が中心ですよね。

で、親の不安をそのまま子どもに向けてしまっている状態が過干渉ということになります。

ようは親の問題をそのまま子どもに押し付けている状態なんです。

過干渉でも普通に育つ子

ここからが大事なのですが、親の過干渉が直接影響する子とそうでない子がいます。

例えば、小さいときから「それって僕の問題じゃないよね」と親の不安や焦りを突っぱねてしまう子がいるのです。

こうした子どもはエニアグラムで言えば「大人タイプ」に当たります。

大人タイプの子どもは全体の半分以上いるとされています。

こうした子は「自分で生きていく」ということができるので、1人で自立してたくましく生きてくことができます。

ただ、大人タイプ、とりわけお母さんタイプの親は、逆に子どもに対して過干渉になってしまいやすいという短所も持っています。

ここでは「親の過干渉でも影響を受けにくい子がいるんだ」ということを頭の片隅に置いていただければと思います。

逆に過干渉でつぶれてしまう子

一方で、親の過干渉でつぶれてしまう子もいます。
自分でこうしようと思ったときに、親からいろいろと言われてしまって、ぐちゃぐちゃになってしまう子です。

エニアグラムでは子どもタイプと呼ばれる子に多い傾向です。

こうした子ども達には、何か言う前に「話を聴くこと」「理解すること」が効果的であることが多いです。

もし、親がイライラしたり、不安で心が一杯いっぱいになったときには、ちょっと距離を置いて、心が落ち着いた時にゆっくりと話を聴いていく

そうした関りをすると、お子さんもホッとして、自分らしさを伸ばすことができるようになります。

親子関係が不登校にどう影響するか?

実のところを言えば、過干渉だから不登校になるということはあまりあり得ません。

子どもタイプのお子さんでも、親の過干渉によって自分を出すことができなくなってしまうこともありますが、それでも学校に行き続ける子はいます。

不登校になる子は繊細で感受性が高い子が非常に多いです。

そのため、お母さんの気持ちや敏感に感じ取ってしまい、即座に合わせてしまう子が多かったりします。

「小さい頃は問題なかった」という不登校のお子さんは多いですが、それはお母さん・お父さんの気持ちを窺いながら一生懸命合わせてきたというケースが多いのです。

逆に感受性が強すぎて、そうした親の気持ちを感じるとすぐに一杯いっぱいとなりパニック状態になるので、育てにくかったというお子さんも多かったりします。

そうした繊細さを持っている場合は、親子のズレと言うのを敏感に感じ取っています。

で、思春期に入って、そのズレがだんだん大きくなっていきます。

そうなると、ある日急に親と距離を取ったり、恨んだりといった行動をとるようになます。
そんなお子さんの様子を見て戸惑ってしまうお父さん、お母さんもたくさんおられます。

基本、親子関係と不登校は関係ない

大切な視点ですが、親子関係と不登校は関係ありません。

不登校の原因は、あくまでも「子どもの感性や個性と学校が合わない」ということだけです。
そして、その合わなさに対して敏感に感じてしまうからこそ、ストレスがかかり学校に行かない選択をするのです。

お父さん、お母さんの育て方が悪いわけではありません。

ただ、わが子をサポートしていく場合、親子の間にズレや溝がたくさんあると、子どもは「お母さんはわかってくれない」と言って、余計に距離を遠ざけてしまいます。

これでは不登校解決の第一歩は望めません。

そのため、まずは親が子どもを理解して、その上で子どもを支援するための関係作りをして行くことが大切なのです。

まとめ

この記事のまとめです。

  • 不登校と親子関係・家庭環境は関係はない。
  • 過干渉でも不適切な養育を受けても育つ子、潰れてしまう子がいる。それは生まれつき性格によるところが大きい。
  • 不登校の子どもは親の気持ちや考えを敏感に察知する。そのため、親子の間でズレが生まれやすい。だからこそ子どもを理解することで関係を深めてく必要がある。

親子関係は不登校の原因ではありませんが、よい関係を作ることができないと不登校は長期化する傾向があります。

長期化・悪化の要因になるということです。

私は親子の絆をベースとして子どもたちが笑顔に人生を送るお手伝いをしています。
興味があれば、ぜひ私のカウンセリングルームを訪れてくださいね。

それでは♪

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