見守っても変化がない
不登校の本を読むと、「見守りましょう」「ゆっくりさせましょう」と言った文言を見ることが多いです。
それを鵜呑みにして、見守るということを実践するお父さん、お母さんは結構多いです。
子どもの好きにさせよう、子どもがやりたいようにさせよう。
そうして黙って何も言わずに見守るという支援をした結果、多くの子は改善がないまま、数か月、数年と経過していきます。
ずっと家でゲームや動画を見ているばかりの日々。
そうしたわが子を見て、「これでいいのか」とモヤモヤした毎日を送っているお父さん、お母さんは非常に多いのです。
見守ると放置の違い
ここで大切なことがあります。
実は見守るといいながらも放置になっていないかということです。
カウンセラーや支援者も含めて、見守りと放置の違いが今一つわかっていない方、結構多いのです。
そのため、お母さんも「見守りましょう」と本で読んでも、どうしていいかわからないままに、ただそっとしておくだけとなっているケースはよくあります。
今回は見守りと放置について、考えてみたいと思います。
見守るってどういうこと?
まず、見守るということについてですが、子どものことをしっかりと理解できているかです。
例えば、カレーを作るときをイメージしてください。
カレーを作る場合、まずはレシピを良く理解して、お鍋で具材を煮込んで、タイミングを見ながらカレールーを溶かして作りますよね。
例えば、レシピを全く理解しないで、ただ適当にお鍋に具材を入れただけでは完成はしません。
美味しいカレーを作るには、しっかりと火入れや分量を理解しながら、適切にタイミングを見ながら調理していく必要があります。
これを不登校の支援で言えば、子どもの性格や特性を十二分に理解した上で、「あ、今はそっとしておく時期だろうな」「あ、そろそろ動き出すだろうな」とタイミングを見ながら声掛けや働きかけをしていく必要があります。
この子どものことを理解しながら、ある時は待って、ある時は働きかけをしていくということが見守るということなのです。
放置とはどんな状態か?
では、放置とはどんな時を指すのでしょうか?
私は子どものことを理解しないまま関わっている状態であると考えています。
カレーを作る例でいえば、レシピやタイミングもわからないまま、ただぐつぐつと煮込み続けている状態です。
当然ですが、カレーは焦げ付いてしまい、うまく作ることはできません。
よく「ただ、見守っているだけ」と言ってしまっている場合、それは見守りではなく放置となってしまっていることが多いです。
以下の気持ちが出てきたときはちょっと注意が必要です。
・このままで本当に変わるんだろうか
・落ち着いているけど先が見えない
この場合は、放置となっている可能性が高くなります。
放置をするとどうなるか?
お子さんの中には、放っておいても自分で考えて道筋を立てて社会復帰できる子がいます。
しかし、それは結構稀です。
次に放置するとどうなるのか、事例を紹介したいと思います。
現在中1の不登校のお子さんがいるお母さんです。
小学校5年生からある日急に学校に行けなくなりました。
お母さんは子どもが不登校になった直後、とても落ち込みました。
「なぜ学校に行けないの?」と厳しくったこともあります。
でも、子どもは学校に行くどころか、部屋から出てこなくなり、親子関係は最悪となりました。
何か言えば、「うるさい!!」「俺の気持ちもわからんと偉そうにするな」と暴言で返されるようになります。
このままではだめだと思い、不登校のセミナーに行ったり、本を読んだりしました。
その中で「今は充電機関だから何も言わないことがいい」と知り、それを実践するようになりました。
好きなことをさせる
嫌なことは何も言わない
見守りに徹する
すると、お子さんの暴言は驚くほどなくなりました。
また表情も穏やかになり、家の空気も良くなっているような気がします。
「やはり、何も言わない方がいいんだ」とその時は思ったそうです。
しかし、それから半年、1年たっても学校に行くようなっそぶりは見せません。
結局、卒業式も行きません。
お母さんが「卒業式どうする?」と聴くと、「知らない」と終わり、何も変化がないまま数年が過ぎようとしています。

見守るとは「先回り理解」のこと
上記のケースでは何がいけなかったでしょうか?
それは「ノウハウだけで動いてしまったこと」になります。
ノウハウを試す前に大事なことがあるのです。
それは「子ども理解」です。
子どもがどういう思いで苦しんでいるのかをしっかりと理解していくということが大切です。
上記のお子さんの例でいえば、おそらく「学校に行きたいんだけど、体が固まって動けなくなった。もう人生終わった」といった絶望感があったんじゃないかと思います。
そういった苦しい部分をしっかりと理解していたとしたら、すぐに「学校に行け、甘えるな」と言った関わり方は絶対にしなかったでしょう。
また、今の状況については、「もう生きていても仕方がない」という諦めの感じがあるのかもしれません。
そうした状況で将来のことを聞かれてしまうと、責められていると感じてしまい、自分を守るために「知らない」と逃げるようにしてしまうことも十分考えられます。
まずはこうした子どもの苦しみを理解するということが大切です。
それができると、どう関わっていいかが見えてきます。
見えてきている状態で、子どもを守るから「見守り」なのです。
「お母さん、わかってくれている」
というのをお子さんに伝わるようになると、子どもは自然と前を向くようになります。
そうなると、一緒に不登校解決に向かって歩き出すことができるようになるのです。
まとめ
この記事のまとめです。
最後にお伝えしたいことですが、やり方をしっかりと学べば誰でも「見守り」ができるようになります。
「見守る」というのは天性の才能ではなくて、学習したらできるようになるスキルなのです。
そのためには専門家や他の不登校経験者のお話を聴きながら学んでいく必要があります。
私のケースではどのお母さんでも子どもをしっかりと見守ることができるようになって、解決に進んでいます。
ぜひ、あきらめないで子ども理解を進めてくださいね。
心から応援しています。
コメント